シントラはリスボンの西２８ｋｍに位置し、ムーア人 （北西アフリカのイスラム教教徒の呼称） が築いた城の跡やポルトガル王室の夏の離宮などがあり、緑豊かで美しい文化的景観は世界遺産にも登録されています。鉄道を利用してロシオ駅からシントラまで約４０分、車内は観光客で混雑していました。シントラ駅から王宮へは、途中にあるムーアの泉によりゆるやかな坂道を歩いて３０分ほど。 　 王宮はもともとはシントラ地方をおさめるムーア人支配者の住居、１２世紀ごろからポルトガル王家の居城となりました。現在残っている城の大部分は１５世紀にジョアン１世によるもの､その後１６世紀にポルトガル王国の黄金期を築いたマヌエル１世によって増築され、大航海時代の富が注ぎ込まれました。 紋章の間、白鳥の間、カササギの間、ガレー船の間、アラブの間などの個性的な部屋や、高さ３３mの煙突を持つ厨房など、見どころいっぱい。王宮の外観とは裏腹に、内部の装飾はポルトガルの栄光を物語る素晴らしいものでした。

王宮へ

口で“POR BEM”（善意で、の意味）と書かれた布をくわえ、足でバラの花を掴むカササギが描かれている。侍女にキスしているところを王妃に見つかったジョアン１世が“POR BEM”「善意で（キスしたのだ）」と言い訳したが、うわさが女官たちに広まってしまった。「おしゃべり」　という意味のあるカササギを侍女の数だけ描かせ、足には王妃の実家の紋章であるバラを掴ませ弁明した、という逸話があるとか。